discord.pyでわかったことまとめ
これまで家族用に使っていた Slack の機能を徐々に Discord に移行している。
discord.py を使って Discord ボットを作る過程でわかったことをまとめる。
テンプレートリポジトリ
discord.py のドキュメントを読んでもどのように実装しようか考えがまとまらず困っていたところ、以下のリポジトリを見つけた。
Discord ボットの作成にはこのリポジトリを参考にした。
わかったこと
Discord ボットは Python 3.10.9, discord.py 2.1.0 で実装している。
add_cog を使って動的にCogを読み込める
ドキュメントから Cog(コグ)の説明を引用する。
Bot 開発においてコマンドやリスナー、いくつかの状態を 1 つのクラスにまとめてしまいたい場合があるでしょう。コグはそれを実現したものです。
discord.py
コマンドを Cog クラスとして定義し、さらに Cog クラスごとにファイルを分けておくと管理が楽になる。
しかし、 Cog を新たに定義するごとにボットへ追加するコードを書くのは面倒であるため、テンプレートリポジトリでは Cog を動的に読み込むコード1が書いてある。
動的読み込みのコードは割愛するが、読み込ませたいファイルには以下のように setup
を書いておくだけでよい。
from discord.ext import commands
class ExampleCog(commands.Cog, name="example"):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
Discordはスラッシュコマンドが便利
これは discord.py というより、Discord そのものについてだが。 スラッシュコマンド2はコマンド入力中に候補が表示される、そのコマンドに必要な引数が表示される、など、入力がとても簡単である。
hybrid_command
デコレータを使うと、通常のコマンドとスラッシュコマンドのどちらでも使えるように定義できる。
from discord.ext import commands
class ExampleCog(commands.Cog, name="example"):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
@commands.hybrid_command(name="testcommand", description="テストコマンド")
async def test(self, ctx):
await ctx.send("This is a hybrid command!")
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
コマンドの引数の説明を追加できる
コマンドに @discord.app_command.describe(msg="投稿するメッセージ")
というようなデコレータをつけることで、引数に説明文を追加できる。
他の方法として、 docstring に引数の説明を書くことでもデコレータと同様の説明を追加できることを確認している。
from discord.ext import commands
class ExampleCog(commands.Cog, name="example"):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
@commands.hybrid_command(name="echo", description="入力したメッセージを投稿する")
async def echo(self, ctx, msg: str):
"""
エコーコマンド
Parameters
---------------
msg : str
投稿するメッセージ
"""
await ctx.send(f"{msg}")
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
Discord上での引数名を変更できる
rename
デコレータを使用することで、Discord 上で表示される引数名をコードとは別の値に変更できる。
Discord 上では引数名を日本語で表示したい場合に便利。
from discord import app_commands
from discord.ext import commands
class ExampleCog(commands.Cog, name="example"):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
@commands.hybrid_command(name="echo", description="入力したメッセージを投稿する")
@app_commands.rename(msg="メッセージ") # Discord上では msg ではなく、「メッセージ」という引数名となる
async def echo(self, ctx, msg: str):
"""
エコーコマンド
Parameters
---------------
msg : str
投稿するメッセージ
"""
await ctx.send(f"{msg}")
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
ギルドコマンドとするにはデコレータの付与だけでは足りない
ギルドコマンドとは、特定のサーバでのみ有効なコマンドのこと。
ギルドコマンドは即時に反映されるという特徴があるため、テンプレートリポジトリの README に @app_commands.guilds()
デコレータを付与してギルドコマンドとする方法が書かれている。
しかし、私の環境では上記デコレータをつけるだけでは即時反映されなかった。
デコレータ付与に加えて、 bot.tree.sync(discord.Object(<GUILD ID>))
とすることで、即時反映されることを確認できた。
bot.tree.sync は、
テンプレートリポジトリでは bot.py
1 の on_ready
関数内に書かれている。
引数に型ヒントを書くとその型に変換してくれる
Slack では、 slackbot や slack-machine を利用してボットを作っていたが、引数は文字列型なので数値を扱う場合には int や float へ変換する必要があった。
しかし、 discord.py では引数の型ヒントに記述した型に変換してくれる機能が備わっている。
from discord.ext import commands
class ExampleCog(commands.Cog, name="example"):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
@commands.hybrid_command(name="test", description="入力した数値に1を足して投稿する")
async def test(self, ctx, number: int):
await ctx.send(f"{number + 1}")
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
独自クラス (コンバーター) を作成して、より高度な変換も可能3。
Cog での定期実行タスクは listener デコレータでスタートする
commands.Cog.listener
デコレータをつけた on_ready
メソッドで、 tasks.loop
デコレータをつけたメソッドをスタートする。
from discord.ext import commands, tasks
class ExampleCog(commands.Cog):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
@tasks.loop(seconds=5.0)
def example_task(self):
print("example task")
@commands.Cog.listener()
async def on_ready(self):
self.example_task.start()
async def setup(bot):
await bot.add_cog(ExampleCog(bot))
以下のようにコンストラクタでスタートする方法も見受けられたが、自分の環境では動作しなかった。
from discord.ext import commands, tasks
class ExampleCog(commands.Cog):
def __init__(self, bot: commands.Bot):
self.bot = bot
self.example_task.start()
@tasks.loop(seconds=5.0)
def example_task(self):
print("example task")
任意のチャンネルの取得
bot.get_channel(<channel id>)
でチャンネルを取得できない現象に遭遇した。
正しいチャンネルの ID であっても None が返ってくる。
この現象について調べたところ、下記のブログを見つけた。
【pycord】チャンネルが取得できない対処法【Python3.10】 - nekoy3`s room
上記ブログの通り、bot.get_partial_messageable(<channel id>)
としたところ、チャンネルを取得できた。